こんな夢を見た
黄色い照明に照らされた見知らぬ白い部屋。
覚えのない場所だが何となく懐かしい、実家にいるような感覚になる。
ふと呼ばれた気がして後ろを振り向くと、五つ離れた妹が現れた。
妹と何を話すでもなく意味ありげに目を合わせた後、私はもう一度前に向き直った。
気づくと白いつるりとしたテーブルのような台が目の前にあり、その上には洋菓子が三つ等間隔に並んでいる。
それぞれ種類の違う洋菓子のようだが、ふと、白いテーブルに小さい黒い点があるのに気づく。
蟻だ。
気づいた途端、蟻は洋菓子に向かって動き出した。
どこからともなく蟻はあちこちから列をなして現れ、あっという間に洋菓子に群がっていく。
とうとう三つの黒い塊になったそれを、私はぼんやりと眺めていた。
気づくと妹はいなくなっっていて、白いつるりとしたテーブルだった台は、実家にあった赤茶色の木製の机に変わっていた。
***
ぼんやりと青い光に照らされた、薄暗い白い部屋。
洋菓子のメーカーなのか壁は一面ガラス張りの冷蔵庫で、中にはありとあらゆる大量のケーキがトレーに乗せられ保存されていた。
今日は女王の使者が来るらしい。
部屋にいる職員たちは硬い顔で立っている。
皆緊張して静かに待っていたが、一斉に顔を上げた。
暗い廊下の向こうから、すうっと、音もなく滑るように、女王の使者は現れた。
女王の使者は背が高かった。
部屋にいる職員より頭一つ分は大きかったし、そもそも頭自体が人間の倍以上の大きさがあった。
丸い大きなボールのような頭は金色で、目や鼻や口がついているのかわからない。
複雑な模様を彫り込まれた綺麗な球体だった。
青い光を反射している金色の頭の下は暗い緑のマントだった。
たっぷりとしたマントは地面すれすれまで覆っていて、その下の構造が人間と同じかはわからない。
女王の使者は何も言わず部屋の奥まで進み、冷蔵庫の中のケーキを検分し始めた。
しばらく静かにそれぞれのトレーを眺めているだけだったが、左端のトレーを指して急に怒り始めた。
職員たちは慌てて女王の使者が指し示したトレーを冷蔵庫から取り出した。
大きな銀色のトレーはピカピカで、その上にはずらりとティラミスが並んでいる。
正方形に切られたティラミスはとても美味しそうで、どこにも欠点など見当たらないように感じた。
だが、気に入らないと女王の使者は怒りをあらわにしている。。
ずらりと並んだティラミスと女王の使者を前に、職員たちは顔を見合わせて、途方に暮れていた。
***
こんな夢を見ました。
最近なぜか虫とお菓子に関する夢がとても多いんですよね。
秋だからですかね。